外国為替:円高や円安になる理由のまとめ

円高や円安になる理由のまとめ

日本経済は振るいませんが、外国為替では円が強くなり円高傾向が続いています。なぜ、日本経済は不調なのに為替は円高になるのか?

ドル/円はどこまで円高になるのか?など疑問をお持ちの方は多いと思います。

そこで、円高になる理由について簡単にまとめてみました。

為替は、2007年に円高の流れに傾く

為替相場の動きをチャートで表示したものが下記です。(クリックすると拡大します)

為替相場の動き

※2000年以降のドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円の月足です。

2000年~2007年頃までは緩やかな円安状態でしたが、2007年夏ごろから流れが円高に傾いています。

この2007年夏に米国のサブプライムローン住宅危機が明るみに出て、以降、円高傾向が続いています。では、次に円高になる理由を5つにまとめましたのでご覧ください。


円高になる理由のまとめ

それでは、外国為替の変動要因の中で、特に円高になる理由をまとめてみましょう。

1.貿易決済による円高

国をまたいだ取引(貿易)を行うときは、日本国内同士の取引のように日本円を使えるとは限りませんので、外国為替取引を行います。

この貿易を行うときの為替取引で通貨を売買しますので、円高・円安が起きます。

基本的に、世界中で貿易の決済通貨として広く使われている通貨は「ドル」です。=基軸通貨と呼びます。

●日本の輸入企業は円を売ってドルを買い、そのドルで様々な商品(原油・鉱物・製品)などを買います。

●日本の輸出企業は、様々な商品(自動車・機械)を売ってドルを受け取ります。その受け取ったドルを売って円を買い日本国内で使います。

ここで、輸出の方が輸入より多い「輸出>輸入」だと、受け取るドルが多いため、外国為替市場でドルを売って円を買う動きになることから、ドル安円高になります。

日本は、輸出の方が多い貿易黒字国であることから、円高傾向が強くなります。

※これは、日本だけでなく、世界中の企業が受け取ったドルを各国の通貨に変える動きが起きるため、貿易による為替は、おおよそドルの下落(ドル安)圧力となります。

●財務省貿易統計(単位千円)
2000年以降、2011年を除き、輸出の方が輸入より多いことが分かります。2011年は、東日本大震災の影響で工場の操業停止(輸出停止)・原子力発電停止(エネルギー輸入)などの影響が大きく、収支は赤字になっています。

輸出 輸入 差額
2000 51,654,197,760 40,938,422,968 10,715,774,792
2001 48,979,244,311 42,415,533,002 6,563,711,309
2002 52,108,955,735 42,227,505,945 9,881,449,790
2003 54,548,350,172 44,362,023,352 10,186,326,820
2004 61,169,979,094 49,216,636,346 11,953,342,748
2005 65,656,544,157 56,949,392,181 8,707,151,976
2006 75,246,173,392 67,344,293,072 7,901,880,320
2007 83,931,437,612 73,135,920,427 10,795,517,185
2008 81,018,087,607 78,954,749,926 2,063,337,681
2009 54,170,614,088 51,499,377,779 2,671,236,309
2010 67,399,626,696 60,764,956,840 6,634,669,856
2011 65,546,474,948 68,111,187,178 -2,564,712,230
2011年 輸出総額約65兆円 輸入総額約68兆円 差額約-2.5兆円

●1950年以降の貿易「輸出入の差額」グラフ

輸出入の差額

データ・グラフは、財務省貿易統計を加工して作成

2.直接投資(会社・株)を買うための円高や円安

アメリカの会社を買う・工場を建てる際には、円を売ってドルを買い、そのドルを使います。もし、イギリスの会社であれば、円を売ってポンドを買い、そのポンドを使います。

つまり、日本から海外への投資は、円売り外貨買いになることから、円安外貨高要因です。逆に日本に投資が集まる場合は、円高外貨安要因です。

大きな企業のM&A(企業買収)があると為替が動くことがあるのも同じ理由です。特に、その国への投資ブームが起こっているときには、同じような動きが集まり、大きく為替を動かす原因になります。

日本は、人件費の高さ・貿易摩擦の関係で工場の海外移転を進めており、会社の買収などにも積極的なことから直接投資の動きは大切です。

3.金利差による円高や円安

お金は、儲かる方に動きます。もし、日本国債の金利は「1%」、米国債の金利は「5%」と「5%-1%=4%」の差があると、日本国債より米国債を買う人が増えます。

このとき、円を売ってドルを買うことになりますので円安ドル高になります。その方が利息を多くもらえてお得です。

●米国債金利の昔と今

以前の米国は、強いドルは国益だと唱え、金利を高くして世界中から投資資金を集めていました。

ところが、米国の金利は、経済危機の影響で下がり続けており、日本と米国の金利差が縮まっています。=円安ドル高方向への圧力が弱まっています。

●日米金利差比較(10年債金利):チャートはGMOクリック証券

日米金利:国債

FX(外国為替証拠金取引)でスワップポイント(二国間の金利差)・円キャリートレードなどと呼ばれているのは、この金利差に着目した現象です。

4.リスクオンとリスクオフ

新興国への投資は、リスクが大きい分リターンの可能性も大きい投資です。そのため世界的に経済が順調で景気が良いと新興国にお金が流れます。

ところが、その国や世界経済が不安定になると、新興国投資は危険だということで、安全な国や資産にお金が移ります。経済危機の新興国は、借りたお金を返せない(デフォルト)や株価の下落などのリスクが高まるからです。

この動きをリスクオン(リスク選好)とリスクオフ(リスク回避)と呼びます。

この安全な資産として選ばれるのは、政治・経済的に安定していて取引量の多い通貨や金(GOLD)です。

日本円・米国ドルなどは、リスクオフ(リスク回避)時に上昇します。そして、現在の世界経済危機は、欧州もしくは米国を震源とすることが多いのです。

そのため、この安全な資産として、最も選ばれる通貨が日本円となり、日本円が上昇(円高)になりやすいのです。

もし、日本の経済や政治情勢が悪化し、日本円が「リスクオン」から「リスクオフ」通貨になると、世界経済危機時には、売られる=円安になります。

5.投機と実需

1~4までの理由は、実際にお金が動く「実需」と呼ばれる動きが中心でした。

それ以外に、「投機的な動き」で為替は動き、円高や円安になります。

・将来、円安になると思えば、投資家は、円を売って外貨を買うことから、円安に動きます。

・逆に、将来、円高になると思えば、外貨を売って円を買うことから、円高に動きます。

また、経済指標の良し悪しやチャートのテクニカル上のポイントなど、外国為替の投機的動きでも外国為替は動きます。

もっとも投機的な動きは、最終的に買ったものは売る・売ったものは買い戻されることから、外国為替の中長期な動きは、実需中心の動きになります。

実需に関連した外国為替のうごきとして、為替リスクを軽減・なくすために、為替ヘッジ取引を行い、こちらも影響を与えることになります。

為替ヘッジの詳細はこちら

外国為替を理解するには、ドル・ユーロ・円と複数の通貨の間をお金が動いていることを考えますが、皆様の生活に直結しやすい円高・円安に的を絞った解説を行いました。

他にも外国為替の変動要因には細かい点がいくつもありますが、基本を押さえておきましょう。

ドル/円・ユーロ/円はもちろん、中国元・韓国ウォン・ブラジルレアルなどの外国為替レート表

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