アルゼンチンのデフォルト危機か:2012年版
ギリシャやスペインだけでなく、南米の大国「アルゼンチン」にデフォルトの危機が迫っています。2012年11月27日、格付け会社のフィッチは、アルゼンチンの格付けを「B」から「CC」に5段階引き下げました。
「CC」は、債務不履行に陥る可能性が高い危険な水準の格付けレベルです。
アルゼンチンの格付け引下げの理由
アルゼンチンは、2002年にデフォルトを起こしており、その折の債務処理の問題がここにきてクローズアップされています。
2002年に発生したアルゼンチン国債のデフォルト(債務不履行)の際に再編に応じなかった債権者に対し、米連邦地裁が再編に応じた債権者と同様に支払いを命じる判決を下したことを受けて、デフォルトの可能性が高まったとしている。~
アルゼンチンは、再編に応じなかったアウレリウス・キャピタルなどの債権者を「ハゲタカファンド」として、支払いを断固として拒否している。アルゼンチンで2005年に制定された法律は、議会の事前承認なしに再編に応じなかった投資家と和解することなどを禁じており、そのため支払いが行われない公算が大きいとしている。
米国連邦地裁は今月21日、債務再編に応じた国債保有者への約30億ドル(約2500億円)の支払いをアルゼンチンが来月実行する際に、再編に応じずデフォルトとなった債券13億ドル相当の保有者を平等に扱うようアルゼンチン政府に命じる判断を示していた。出典:ブルームバーグ
デフォルトは、早ければ12月に発生する可能性があります。アルゼンチンは12月2日に4千万ドルの利払いを控え、さらに、12月15日に期限を迎える30億ドルの返済を行えるかどうかに注目が集まっています。
●アルゼンチンの株価指数:メルバル
●アルゼンチン国債の利回り(2012年11月8日)
アルゼンチンの中央銀行はこちら
前回のデフォルト:アルゼンチンの2001年から2002年
アルゼンチンは、1997年のアジア通貨危機から始まる経済危機を乗り越えることができませんでした。
1998年のロシア通貨危機は、メキシコ・ブラジル・アルゼンチンと次々に襲いかかったのです。アルゼンチンペソは信用をなくし、急落したのです。そして最終的にはデフォルトにまで追い込まれてしまいました。
世界のデフォルト経験国の一覧(海外投資データバンク)
その2001年末から2002年にかけての情勢がまとめられている記事です。
2001年夏から債務不履行の可能性が取り沙汰されていたアルゼンチンでは、12月に入って預金引出制限、国際通貨基金(IMF)の追加融資見送りによりペソ切下げ不安が高まり、国民の政治不信が募るなかで急進党主体のデ・ラ・ルア政権が崩壊した。
2012年のデフォルト危機
2012年現在もデフォルト危機が起きていますが、政治に対する不満も高まっており、11月8日には首都ブエノスアイレスで過去10年で最大規模(70万人)のデモが起きています。
●アルゼンチンの抗議デモの様子
欧州の債務危機によりスペイン・ギリシャなどが追い込まれている中で、中南米の雄「アルゼンチン」がデフォルトになると世界経済がそのショックを支えきれるかどうか気になります。 肝心の米国も年末から来年にかけて財政の崖という問題を抱えています。
元々、アルゼンチンはスペインの植民地でありスペイン語が通じるなどスペインとの関係の深い国です。
●アルゼンチン共和国の経済:観光庁のプロモーションビデオ