中国の7月危機もささやかれる:チャイナリスクとシャドーバンク

中国の習近平政権が発足してから前政権時代の不良債権処理を打ち出すとの政府系シンクタンクの内部報告があり、「中国リスク7月危機説」が話題になっていました。

そして、中国経済は2013年6月下旬に短期金利上昇と株式市場の下落に見舞われています。

金利上昇と株価下落

1.短期金利の急上昇:中国短期金融市場の金利高(6月20日、前日7%台で推移していた翌日物の金利が13.44%まで上昇)を放置。その後、人民銀は「6月末を控えて(銀行は)流動性の管理を一段と強化すべきだ」と23-24日に声明を発表しました。

2.株式市場の急落:上海総合指数が24日に、「1,963.24 前日比-109.86(-5.30%)」の急落を演じる。

2013年6月

・アジア:過去10年の株価指数推移

金利上昇の原因

金利上昇を放置した理由は、中国で蔓延しているシャドーバンクなどを通じたマネーの誇張に歯止めをかけるためとの説が有力。王岐山副首相が大手金融機関から各種委員会まで査察を行ったことがきっかけとも。

政策当局は資金供給を引き締めることによって、低金利で銀行から調達した資金を高利回り債の購入に充ててきた小規模銀行の一部を「懲らしめる」ことを狙ってのこと。(ブルームバーグ

シャドーバンキングと地方政府の債務危機

中国の経済危機は2013年7月か8月に起きる」と予測した国務院発展研究センターの内部報告。

●シャドーバンキング(影の銀行)という公式な統計やバランスシートに反映されない資金貸出や資産運用

中国社会科学院が2013年4月25日にまとめた報告では、銀行による簿外の資金運用規模は2012年に14兆5710億元。同年の名目の国内総生産(GDP)に対して約29%の規模。

ロイター記事によると約350兆円規模とのこと。

●地方政府の債務問題

中華人民共和国審計署によると36の地方政府本級政府性債務の監査結果では2012年末時点で36の地方政府債務残高は3兆8475億8100万元に達し、2010年比で12.94%増(4409億8100万元増)

この中で、年利10%などの高利をセールスポイントに個人投資家への資産運用商品として販売している「理財商品」は、裏付けとなる資産が不透明で焦げ付いている可能性がある。

中国の一年もの定期預金が年3%の中、満期1年未満で平均4%台の利回り、高いものは10%近くになるため人気を集め、格付け会社フィッチ・レーティングスは、銀行の理財産品の残高が12年末時点で13兆元(約197兆円)規模に達したと推定。

チャイナリスク:14年ぶりの格下げや経済統計の粉飾

・格付け機関大手フィッチ・レーティングスは4月9日、人民元建て長期国債格付けを「AAマイナス」(最上位から4番目)から1段階下げ、「Aプラス」に格下げ。

・ムーディーズ・インベスターズ・サービズは4月16日の段階で、国債の格付けを「Aa3」(最上位から4番目)に据え置き、見通しを「ポジティブ」から「安定的」へと引き下げ。

中国は中央政府の公表済みの債務は、対GDP比で見ても2012年の末で約22%と低いが、上記の隠れ債務の規模が大きく不透明なことが格下げに影響している。

●中国・日本・アメリカの政府総債務残高(対GDP比)比較

政府総債務残高(対GDP比)の推移 - 世界経済のネタ帳

経済統計の不透明感

さらに、今後、問題となる可能性が高いのが、中国が公表している経済統計などの数字が正しいかどうか。

中国経済の実質成長率は約8%:この数字をキープすることが重要だったが4月15日に7.7%と予想を下回ったことで金融市場が大きく揺れ動きました。

実際、米国・欧州・日本と景気悪化に苦しんだ中で、中国の高成長には粉飾ではないかとの疑問が常に投げかけられていました。

中国の経済統計とその推移(日本との比較)

中国の貿易黒字は公式統計の1割

バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチの中華圏経済担当責任者、陸挺氏(香港在勤)は、中国の貿易黒字は5月半ばまでに発表された公式統計の610億ドル(約6兆円)の1割にとどまると指摘した。 (ブルームバーグ

 

中国は、一人っ子政策などの影響もあり、今後は高齢化社会が到来します。

その中で、日本のバブル期のように不動産開発にいそしんでいる現状は、厳しいのではないでしょうか。

中国国家統計局が2013年1月に発表した最新人口統計データによると、2012年末時点における中国大陸部(香港・マカオ・台湾など除く)の人口は13億5,404万人。このうち、60歳以上の高齢者人口は全体の14.3%に相当する1億9,390万人で、男女の比率は、男性が49%、女性が51%となっている。マイナビニュース

すでに労働者賃金の上昇で、バングラデシュ・マレーシア・インドネシアなどに仕事の一部が奪われだしています。

整風運動

習近平党総書記(国家主席)の主宰で全政治局員25人が集まり、22~25日に「政治局専門会議」を開催。

・党中央が視察や会議の簡素化、倹約の徹底などを要求した昨年12月の「中央八項目規定」の順守

・形式主義、官僚主義、享楽主義、ぜいたくという党内にまん延する「四つの気風」への批判を展開

・習氏は反腐敗を武器に徹底した引き締めで、自身の権力を強固にする狙いだ

・1940年代などに毛沢東が思想統一と権力基盤拡大のために展開した「整風運動」を意識した「新整風」の本格幕開け

 

中国崩壊のリスクは、以前より話題になっており、それでもここまで経済を維持してきたことから、今回の「チャイナリスク7月危機」も何とか乗り越える可能性があります。

しかし、万一、崩壊となるとその影響は大きいため、政治・経済情勢をしっかりと見ておきましょう。

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