米国の出口戦略(QE縮小)でお金の流れが変わる

リーマンショックで、世界の金融市場が壊れかけ、株式が暴落しお金の流れがおかしくなったことからはじまった米国の金融緩和(QE)ですが、その終焉の時期が近づいています。

NYダウの株価推移を見るとリーマンショックのダメージが見えます。

QEの1と2、そしてQE3決定

・QE1:2008年11月~2010年3月
・QE2:2010年11月~2011年6月
・QE3:2012年9月~

米国のFOMCは、開催のたびにいつQEを縮小させるのかの点に市場の関心が集まっています。

FRBバーナンキ議長のQE終了・縮小に関する発言

6月20日のFOMC
「2013年末までに資産買い入れペースを緩める可能性がある」
「2014年半ば付近で資産買い入れを終了する可能性がある」

7月16日の下院議会証言
「資産買い入れは失業率が7%近辺となった時点で終了する可能性が高い」
「FRBは2%のインフレ目標を確保するため、必要に応じて行動する」
「FRBは資産買い入れ縮小を年内に開始し、2014年半ばごろに終了させることが適切と想定」

FOMCの基本方針は、雇用見通しが大幅に改善するまでQE3を継続するという内容でした。失業率6.5%以下を目標にしていた時期もあります。

ここ、最近は、失業率が7%近辺、2013年末・14年半ばといった具体的な数字が出てきています。

●米国の失業率の推移見通し

失業率の推移 - 世界経済のネタ帳

2013年:7.74%
2014年:7.46%
2015年:6.86%

米国QE3縮小見通しのまとめ

「失業率など雇用関係の指標の数字を見ながら2013年後半からQE縮小をはじめて、問題がなければ2014年半ばにQE3を終了する」

ただし、経済指標の数字・実態経済が悪化した場合には、シナリオ変更を行う

さらに、QE3を停止してもバランスシートの残高を維持するとし、QE3の停止=金融緩和が急激に縮小に向かうわけではないことも示しています。

米国のQE停止:出口戦略のリスク

リーマン・ショックで米国がQEを開始してからの四年間で(09~12年)で新興国への証券投資フローはQE前の四年間(05年~08年)の14倍。この間の主要20か国(G20)のうち、新興国11か国合計のGDPは07年11.6兆ドルから12年20.3兆ドルの2倍弱に伸びたに過ぎない。週刊エコノミスト

米国の金融緩和により世界中に流れだしていたお金は、欧州・アジア・オセアニアとあらゆる国や地域で景気を支えていました。

実質経済成長率の推移 - 世界経済のネタ帳

実質経済成長率の推移 - 世界経済のネタ帳

そのお金の流れが止まると金利上昇にもつながっていき、金融緩和のお金が入っていた株式・債券・為替・金などの市場に影響を与えます。

●米国のマネタリーベースの推移(2013年7月10日)

マネタリーベース推移

出典:FRED

すでに、2013年4月に金価格は暴落を起こしました。

今後、出口戦略でリスクとなる可能性

1.中国経済の失速:シャドーバンキング問題

2.新興国からの資金引き揚げによる経済危機や通貨危機

3.米国経済とつながりの深い中南米経済の危機

4.欧州経済のさらなる失速リスク

リーマン・ショック・世界金融危機では、民間の金融機関が大きなレバレッジを掛けて、金融商品を作成・販売・購入で巨額な利益を得ていましたが、最終的にそれが膨大な債務となってしまいます。

そこで、金融機関を救済・金融緩和で政府や中央銀行がその債務を肩代わりした格好になっています。

BIS統計では、リーマンショック前の2007年から2012年までに世界の中央銀行のバランスシートは10兆ドル⇒20兆ドルに増加し、G20全体の債務(家計・企業・政府)は、33兆ドルも増加。

政府総債務残高(対GDP比)の推移 - 世界経済のネタ帳

米国は、新分野としてシェール革命を実行し、エネルギー分野ひいては製造業で競争力が上がっていく可能性があります。3Dプリンタ・情報化社会の進展・グーグル・アップル・アマゾンなどの超巨大IT企業の存在など。

ということは、中東・中国・ロシアなど新興国・資源国経済の競争力が落ちることにつながってしまいます。

また、米国が出口戦略を行いお金の流れを絞る中、大きく金融緩和に舵を切った国が「日本」です。米国の出口戦略は日本の金融緩和と一体化して進むことになりそうです。

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