米国の財政の崖とは、債務上限引上について与野党の対立が原因

米国では、大統領選挙の前から「財政の崖(fiscal cliff)」問題が取り上げられています。ご存じの方も多いのではないでしょうか。2013年1月2日に上院下院で財政の崖回避法案に合意しました。

米国の大問題「財政の崖」とは

米国は、2012年末にブッシュ減税の期限切れなどにより、最大6070億ドル(米GDPの約4%)に匹敵する実質増税と歳出の自動削減がおこなわれます。

ブッシュ減税(ブッシュげんぜい)とは、2001年、2003年の2度にわたってジョージ・W・ブッシュ大統領が実施した大型減税策のことです。2010年12月、バラク・オバマ大統領は2010年末に期限を迎えるブッシュ減税を2年間延長する法案を柱とする経済対策法案に署名しました。この2年間の延長がまたも切れてしまうのです。

財政の崖と影響額

米国議会予算局(CBO)の試算では最大約6070億ドル規模になるとのこと。具体的な内容は以下の通りです。

・ブッシュ減税の期限切れ(所得税やキャピタルゲイン課税など):2210億ドル
・給与税減税の期限切れ:950億ドル
・その他の税制優遇措置(設備投資減税など)の期限切れ:650億ドル
・オバマケア(医療保険)の増税措置:180億ドル
・予算管理法による自動的な歳出削減:650億ドル
・緊急失業給付の期限切れ:260億ドル
・高齢者向け医療保険の医師向け診療報酬削減:110億ドル
・その他の措置の執行など:1050億ドル

政府総債務残高の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

米国の政府総債務残高は、16兆ドルを超えています。

債務残高上限額

米国は、政府の債務残高が増えすぎないように、法律で一定の上限を決めています。2011年8月には議会が大きく揉めてデフォルトの危機に直面しました。

債務上限引き上げ問題がもつれた理由(Market Hack)

結果的に、連邦債務上限は14.3兆ドルから16.4兆ドルに引き上げられました。しかし、格付け会社のS&Pはアメリカの財政赤字の削減への対応が不十分だとみなし、米国の長期発行体格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げたと発表した。(2011年8月5日)

米国債ショック(wiki)

財政の崖による成長鈍化

上記の財政の崖が実施された場合、GDPを約4%引き下げると予想され、米国の主要な貿易相手国やコモディティ価格の下落につながり資源輸出国にも、大きく影響するだろうと言われています。

オバマ大統領の試算によると米国で個人消費が2千億ドル(約16兆4千億円)減る見通し

財政の崖解決に向けて大統領と議会の対立

前年8月に続き、米国議会で民主党と共和党の駆け引きが行われます。

・一部の特別処置の期限延長=財政の崖回避
・議会とホワイトハウスの間で妥協点が成立しない=財政の崖

●財政の崖回避に向けて、減税の延長を行うと財政赤字が減らず、米国の格付けの引き下げ・債務不履行の方向に進みます。

●財政の崖方向に向かうと、米国および世界経済の減速・景気悪化へとつながります。

どちらを優先するのか?どこまで妥協するのか難しいかじ取りをオバマ大統領と米国議会は行うわけです。

期限は、2012年年末そして債務上限に達するであろう2013年2月半ばから3月です。

財政の崖についての動画

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