社会保障制度改革と増え続ける費用および財源
日本政府は、8月21日に社会保障制度改革の工程表となる「プログラム法案」の骨子を閣議決定
規律ある財政は、日本にとって国際公約となっており、これ以上の借金(政府債務増加)は難しいため、社会保障と税金を一体化して改革しようという考えが安倍政権にあります。
今回の改革は安倍総理はもちろん麻生副総理の考えが大きく反映された内容ではないでしょうか。
社会保障制度改革の概要
根本方針:自らの生活を自らまたは家族相互の助け合いで支える自助・自立を基本とし、相互扶助と連帯の精神で助け合う共助によって補完した上で、対応できない困窮等の状況にある者に対して公助によって生活を保護する。
受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度の確立を図る。
人口高齢化が進展する中で活力ある社会を実現するために、健康寿命の延伸による長寿を実現。
今秋に開く臨時国会で成立させ、年明けの通常国会に医療と介護の関連法案を提出する。
1.少子高齢化対策:以下のために必要な措置を取る
(1)子供のための教育・保育給付および地域子供・子育て支援事業実施
(2)保育緊急確保事業の実施
(3)社会的養護の充実にあたり、必要となる児童養護施設の整備
2.医療制度
医療費の増大が見込まれる中で国民皆保険制度を維持するための改革を行う
(1)健康管理や疾病予防など自助努力に対するインセンティブをモテル仕組みの検討
(2)IT技術・レセプトを生かし、多様な主体による保険事業の推進、後発医薬品の利用促進、外来受診の適正化
(3)医療提供体制の見直し:効率的で質の高い医療と地域包括ケアシステムの構築
(4)個人の尊厳と患者の意思を尊重し、人生の最終段階を穏やかに過ごす環境整備
(5)医療保険制度の財政基盤の安定化措置
・70歳~74歳の窓口負担額を1割から2割にアップ
・高額療養費の負担上限をアップ
・大企業健保の負担増加
3.介護保険制度の改善
介護保険制度は、今後、大きくお金がかかる分野だけに自助努力・効率化が重視されています。
(1)個人の主体的な取り組みを症例し、自助努力へのインセンティブを検討
(2)保険料負担の増大抑制と介護サービスの効率化
・高所得者の自己負担増加
・特別養護老人ホームへの軽度者の入所制限
・高所得者の自己負担増加
・低所得の第一号被保険者の介護保険料の負担軽減
・地域の実情に応じた要支援者への支援見直し
4.公的年金制度
財政均衡のために年金支給開始年齢の引き上げなど検討
(1)経済状況(インフレ・デフレ)にあわせた年金給付額の改定
(2)短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用範囲拡大
(3)高齢期の職業生活の多様化に応じた年金受給
(4)高所得者の年金給付の在り方および公的年金等控除を含めた年金課税のあり方の見直し
内容は、内閣官房の社会保障と税の一体改革を参考にしました。
社会保障費用の概要
社会保障には、大きくお金がかかります。誰もが低コストで医療を受けられるのが国民皆保険制度のメリットですが、その分、社会保険や税金の形で誰もがお金を負担しています。
社会保障給付費の金額
・2010年度の社会保障給付費の総額は103兆4,879億円
・2010年度の社会保障給付費の対前年度伸び率は3.6%であり、対国内総生産比は21.60%
・国民1人当たりの社会保障給付費は80万8,100円であり、1世帯当たりでは208万9,200円
1世帯あたり208万円とは大きな金額ですね。消費税増税も大事ですが、社会保険で徴収されるお金の使い道にも真剣になってみても良いのではないでしょうか。
●社会保障給付費の推移
2010年度の部門別社会保障給付費
合計:103兆4,879億円 増加額3兆6,272億円(3.6%増)
医療:30兆8,446億円 増加額1兆4,865億円(4.8%増)
年金:52兆4,184億円 増加額6,938億円(1.3%増)
福祉その他:18兆7,384億円 増加額1兆4,469億円(8.4%増)
介護対策:7兆5,051億円 増加額3,890億円(5.5%増)
●社会保障の財源
●社会保障の収支バランス
収入と支出のバランスおよび何にお金が使われているのか用途別のグラフです。
左の棒グラフが収入、右の棒グラフはそれぞれ、部門別・機能別の分類です。
画像はクリックすると拡大します。
社会保障費は国の財源において大きな負担となっており、機能別にみると、
高齢:50.8兆円で全体の49.1%、次いで保健医療が30.9兆円の29.9%を占めています。
データは政府統計の総合窓口:総務省から
増え続ける日本政府の債務(借金)を減らすために消費税増税と社会保障を車の両輪のように動かしてく方針を政府(財務省)は取っています。