為替手数料を比較 外貨預金・FXとお得なのは?
外貨投資・外国為替でお金を増やすために、最も身近な商品が外貨預金です。
ただし、外貨預金は、コスト(為替手数料)の点からは、おすすめできない金融商品です。
外貨預金は、手数料という形でコストを支払うのではなく、売値と買値の差がコストとなります。これは多くの外貨・為替関連の商品で共通のスタイルで、スプレッドと呼びます。
大手都市銀行の外貨預金をお勧めできない理由
大手都市銀行の為替手数料(TTSとTTBの差)の一例をあげると、ドルで2円(往復)、ユーロで3円、豪ドルで4円、ポンドで8円もかかります。これを手数料率に直すと2.5%~6%程になるのです。
TTSとTTB:TTSとは対顧客電信売相場、TTBとは対顧客電信買相場のことです。たとえば、円と米ドルの交換の場合、TTSは円を米ドルに換える際に適用される相場、TTBは米ドルを円に換える際に適用される相場です。
これでは、為替差益を狙おうにも手数料の分を上回るのも大変です。
為替手数料が2円の場合は、1ドル100円でドルを買って、1ドル102円で売っても為替手数料が1ドルにつき2円かかることから「利益」になりません。(金利の事は計算外)
もし、外貨預金を考えるなら、ネット銀行の外貨預金や外貨MMFの方がお得ですし、さらにお得な金融商品として、FX(外国為替証拠金取引)もあります。
外国為替の変動幅と為替手数料
外国為替が動かないと差損益を得ることはできません。では、どれ位為替相場は変動するのでしょうか?
2012年の5か月間でドル/円で8.15円、ポンド/円で16.173円、上下に動いています。
ポンド/円の変動幅と為替手数料を比べると、5カ月の変動幅の半分が為替手数料に消えてしまいます!
しかも、投資や相場を一度でも行った人は、この高値-安値の差引、つまり相場の底と天井で売買することが不可能なこともご存じでしょう。
これでは、外貨預金で利益を出すのは難しく、利益を出しても大部分が為替手数料で消えていくことをご理解いただけると思います。
安値 | 高値 | 差引 | |
---|---|---|---|
ドル/円 | 76.02 | 84.17 | 8.15 |
ユーロ/円 | 97.04 | 111.416 | 14.376 |
ポンド/円 | 117.29 | 133.463 | 16.173 |
豪ドル/円 | 77.877 | 88.628 | 10.751 |
NZドル/円 | 59.8 | 69.114 | 9.314 |
南アフリカランド/円 | 9.31 | 11.061 | 1.751 |
外国為替の変動幅(2012年1月1日~2012年5月18日)データ:上田ハーローFX
外貨預金と外貨MMF・FXの手数料比較
それでは、具体的に外貨預金・外貨MMF・FXの為替手数料の差を見てみましょう。
●外貨預金・外貨MMF・FXの往復為替手数料比較(単位:銭)
三菱東京UFJ銀行 | 野村証券 | 住信SBIネット銀行 | ソニー銀行 | 上田ハーローFX | 外為オンライン | |
---|---|---|---|---|---|---|
米ドル | 200 | 100 | 18 | 50 | 0.8 | 1 |
ユーロ | 300 | 150 | 30 | 50 | 1.8 | 2 |
英ポンド | 800 | 200 | 80 | 100 | 2.8 | 5 |
豪ドル | 400 | 160 | 80 | 100 | 1.8 | 5 |
NZドル | 400 | 200 | 80 | 100 | 3.8 | 6 |
南アフリカランド | 300 | 50 | 5 | 15 |
三菱東京UFJ銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行は、外貨預金。野村証券は、外貨MMF。上田ハーローFX・外為オンラインは、FX。です。通貨は、対円との交換です。
ぱっと見るとあまりの数字の違いに驚かれる方も多いと思います。野村証券の米ドル欄の「100は1円」のことで、外為オンラインの「1は1銭」のことです。
驚く程のコスト差ですから、為替相場の動向を考えるより為替手数料の差を考えることが大切になります。
1円=100銭ですから、野村証券の外貨MMFは、外為オンラインのFX取引の100倍、三菱東京UFJの外貨預金は200倍(ドル/円)のコストになります。
●為替手数料比較(外貨預金・外貨MMF・FX)
グラフにしてみると、差が大きすぎて比較になりません。
外貨預金とFXのお得感
外貨預金の場合、為替差益もさることながら、海外の高金利を狙っての取引も多いと思います。
この金利面についてもFXではスワップポイントの形で外貨預金よりも有利な水準でつきますし、売買の自由度も高いことから外貨投資を考えたい人には、もっともおススメできる金融商品です。
外国為替取引・外貨運用といえば外貨預金と考えていた方は、驚かれるのではないでしょうか。
欠点としては、自由度の高さ・レバレッジを掛けられることから、過度な取引や楽しむことを優先して取引してしまうこと。
取引するしないは個人の自由ですが、あまりの取引のしやすさから遊び感覚で取引を行ってしまう人もいる程です。
大切なお金の運用であることを忘れないようにしましょう。