米軍事産業の株価は中東のIS戦争の影響などで5年で2倍以上の上昇:戦争経済の行方に注意!

世界経済がダウンしていく中で、米国経済は好調。その理由の一つが、中東でのIS戦争、そしてテロとの戦いで軍需産業が好調なこと。

先進国の中でEU・日本はマイナス金利で経済を刺激している中、米国は利上げを行っている状態。

中国経済は、今までのような経済成長は見込めず、経済悪化しており、つられて新興国もダウン。その中で軍需産業に支えられている米国経済は好調を維持。

●代表的な軍需産業の株価チャート

軍需産業の株価チャート

出典:ブルームバーグ:レイセオン社のマーケット情報

この5年間に驚異的な株価上昇率、ボーイングは2倍近く、ロッキード・マーティンは何と233%の上昇。


株価好調の米軍事産業

●5年前と比較しての株価の上昇率(2016年3月30日データ)

売上高は、今のところ横這いから少し上昇している程度。しかし、このところ激しさを増している中東情勢の中で、更に売上が伸びる可能性が指摘されています。

米国は軍事費を減らしており、本来であれば、軍需産業は苦しくなるはず。その分を補う役割を果たしているのが中国やサウジアラビアをはじめとした中東各国

米国は2012年の6820億ドルから2014年には6100億ドルまで軍事費を削減。

パリの同時テロ事件(2015年11月)で、米国の防衛関連株は上昇。サウジアラビア政府が、ボーイング・レイセオンから戦闘機やスマート爆弾などの購入するとのニュース。スタンダード&プアーズ(S&P)のアナリストは、防衛産業の成功を予想。

欧米では軍事予算が削減される方向にある中、新たな軍拡競争が始まったともいわれるアジアと中東ではミサイル防衛・電子機器の分野で受注が拡大しており、世界経済の先行きを危惧する投資家にとって、防衛関連株は安全な投資先といえる。フォーブスジャパン

戦闘機

●米国の上場軍事企業ランキング:2013年 売上高(億円)

  • ボーイング:102,215 航空機メーカー(軍事部門は約40%)
  • ユナイテッド・テクノロジーズ:73,898 コングロマリット (軍事子会社保有が多い)
  • ロッキード・マーティン:53,522 戦闘機・軍事システム (軍事部門は約80%)
  • ハネウェル・インターナショナル:46,084 航空宇宙機器メーカー
  • ゼネラル・ダイナミクス:36,837 軍事用重機械 (軍事部門は80%超)
  • ノースロップ・グラマン:29,099 航空機・艦船
  • レイセオン・カンパニー:27,973 軍事用レーダー・ミサイル (軍事部門は約86%)
  • L3コミュニケーションズ・ホールディングス:14,282 軍事用電子機器
  • テクストロン:14,282 防衛・金融コングロマリット
  • プレシジョン・キャストパーツ:11,346 複合金属製品メーカー

出典:東洋経済

軍事産業と戦争経済

アジア地域の防衛費は拡大中。米国の防衛産業にとっては、高価すぎる武器が多くてまだ十分に売り込みができていないとのWSJ分析

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2014年の世界の防衛支出1兆7190億ドル(約213兆2700億円)のうち、アジア・オセアニアは4230億ドルと25%を占め、北米の5960億ドルに次いで2番目に多かった(11年のドル相場に基づいて計算)。

アジアの防衛支出は欧州より300億ドル多く、過去10年で62%増加している。長年の輸出規制のため米防衛企業にとって閉ざされた市場である中国は、アジア・オセアニアの合計のうち2080億ドルを占め、これが近隣国の防衛支出の押し上げにつながった。同地域は、米企業が輸出した武器の48%を購入しており、この割合は09年の39%から増加している。WSJ

戦争経済:最悪のシナリオ 米国は戦争をすることで武器を輸出しお金を回す戦争経済を行ってきた国という面を持つ

もう1つが、米国の軍事費は、この数年共和党茶会派とオバマ大統領が減額してきたが、中東イスラム国への戦争拡大でやっと軍事費の増額ができるようになりそうである。その上にロシアが出てきたことで、これも巻き込むとより大きくできる。
米国経済を活性化させるには戦争経済しかない。やっと米国中枢の要人たちも合意したようである。オバマも渋々了承した。今まで米国経済を牽引してきたのが、新興国経済の拡大で建設機械や自動車などであったが、この新興国経済が急減したことで、戦争経済に活路を見出すしかないのである。世界の経済不況

1929年の大恐慌しかり、ブッシュの戦争と呼ばれるイラク進攻しかり。チェイニー副大統領と関係の深いハリバートン社がイラク復興を担って会社を急成長させたことは記憶に新しい。

1929年に始まる大恐慌からアメリカはいかに脱却したか。「アメリカ経済は、<第二次世界大戦の>戦争景気によって、大恐慌以来継続していた産業の停滞や失業を解消することができた」(『概説アメリカ経済』、萩原伸次郎ほか、有斐閣選書、67頁)のです。32年に大統領に就任したフランクリン・ローズヴェルトによって「ニューディール策」も実施されましたが、実際に大恐慌を乗り越えたのはニューディール策ではなく第二次世界大戦の「戦争景気」でした。イラク戦争と戦争経済

悲しいかな、戦争は大きくテクノロジーを進化させます。インターネットももともとは米国国防総省のプロジェクトでした。

直接的な武器の売り込み、ITを利用した軍事プロジェクト、軍隊に関わる生活必需品などの補給物資、戦後の復興や利権確保、戦争は巨額のお金がかかります。ベトナム戦争にのめり込んだ米国は、国の経済・心理を傾かせる程のダメージを受けました。

戦争に行く兵士

一方で、上手く戦争経済を回せば、広範囲に大きな影響を与えます。特に、実際に国民を兵士として派遣するのは国としても苦しくなります。しかし、自動操縦・ミサイル・傭兵・現地の民を使った戦争はリアリティもなく、自国経済が活性化する可能性があるため、国としてのダメージを最小限に抑えたままで戦争を遂行できます。欧米を中心に広がる格差社会の中で、唯一のアメリカンドリームが軍隊に入り教育を受けてお金を貯めるという方向に進むのは悲哀以外のなにものでもありません。

この軍事産業=軍産複合体の脅威については、米国大統領ドワイト・アイゼンハワー氏の退任演説が有名。その後に、就任したジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された最大の理由は、軍産複合体との対決だったというのは陰謀論の中でも最大の謎。ケネディ暗殺に関する謎で政府が知っていることは2039年に公開されるはず。

「軍産複合体の経済的、政治的、そして精神的とまでいえる影響力は、全ての市、全ての州政府、全ての連邦政府機関に浸透している。我々は一応、この発展の必要性は認める。しかし、その裏に含まれた深刻な意味合いも理解しなければならない。 (中略) 軍産複合体が、不当な影響力を獲得し、それを行使することに対して、政府も議会も特に用心をしなければならぬ。この不当な力が発生する危険性は、現在、存在するし、今後も存在し続けるだろう。この軍産複合体が我々の自由と民主的政治過程を破壊するようなことを許してはならない」 軍産複合体

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