アービトラージ:裁定取引について

金融取引の専門用語に「アービトラージ」、日本語で裁定取引・サヤ取りという言葉があります。意味は、金利差や価格差を利用して利鞘(りざや)を稼ぐ取引のことを言います。

商売の基本は、安く買って高く売る。和歌山のみかんが安くて江戸のみかんは高い場合。

ならば、紀伊国屋文左衛門のように、和歌山で安いみかんを買って、江戸に運んで高くる。これが商売の基本であり、「アービトラージ」の基本です。

アービトラージ(裁定取引)

上記のみかんの例は、実際の商売で、これを金融取引で行うのがアービトラージです。

日本で、金(Gold)が安く、米国では、少し高ければ、日本の金を買い米国の金を売れば、いずれ、同等の値段になるはずですので、利益を得ることができます。


アービトラージの力と役割

金融では、世界中でほぼ一物一価が成立しています。実際の「物」ではそう上手くいかないのは、ビッグマック指数などの例を見ても分かります。

ところが、金融商品としての為替・株式・商品先物などは、ほぼ全ての商品が、世界中どこで取引をしても同じ価格です。※現物としての米ドル紙幣の価値は、世界の国々で異なります。

これが、アービトラージ(裁定取引)の力です。ト ヨタの株が、日本だけ一株2,800円で、ドイツでは2,500円だと、あっという間に投資家達が、日本で売ってドイツで買うため同じ価格になります。(例ですので細かい点は無視しています)

アービトラージの発展形

今までは、まったく同じ物のアービトラージをお話ししましたが、似た商品でアービトラージを行うことができます。

類似商品のアービトラージ例

・トヨタと日産という同じ自動車会社株で、割安な方を買い、割高な方を売る。

・米国債と日本国債という同じ国債で、割安な方を買い、割高な方を売る

・金と白金、原油とガソリンなど、類似商品の割安な方を買い、割高な方を売る

(商品先物市場で、類似商品のアービトラージを特に「ストラドル取引」と呼ぶこともあります。

日経平均株価とTOPIXのアービトラージイメージ

下記は、日経平均とTOPIX(東証株価指数)の比較チャートです。

ほぼ同じ動きをしていますが、少しずれる局面があることがお分かりいただけると思います。そして、そのズレがしばらくすると戻っています。

日経平均がTOPIXより安い場合、日経平均を買い、TOPIXを売ります。その後、戻ってくれば、取引を決済して利益を得るのです。

日経平均とTOPIX

チャートは、GMOクリック証券:価格比較は、パーセンテージで表示。

アービトラージのリスク

アービトラージ(裁定取引)は、リスクの少ない商品と言われています。

普通に買いや売りを行うのと違い、買いと売りを組み合わせるため、どちらか一方向に相場が動いて大損をすることはありません。

特に同一商品では、保有期間も短く、大きなリスクがないと言えるでしょう。類似商品のアービトラージは、同一商品に比べてリスクが大きくなります。

アービトラージの落とし穴

アービトラージは、比較的、リスクの小さい取引です。

ところが、これが落とし穴になるのですから、世の中は分かりません。

1998年のロシア危機のときには、大手ヘッジファンド「LTCM」が世界の金融市場を破壊しかけましたが、その取引がアービトラージだったのです。

LTCMでは、リスクが小さいゆえに、取引量が拡大し、さらに、割安な方を買い、割高な方を売ることで、裁定取引をしたはずが、割安な方がさらに売られて安くなり、割高な方がさらに買われて高くなる最悪のパターンに陥ったのです。

金と白金、原油とガソリンなども上手く行くときもあれば、失敗するときもあります。

もしかしたら、アービトラージは、リスクが少なく上手くやれば絶対に儲かると思っている方・勧められる方がいるかもしれません。しかし、どちらの商品が、割安・割高の判断は難しく、さらに割安・割高が進行する可能性があることを覚えておきましょう。

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