シェール革命で中東の石油需要が減り世界が変わる?基本知識

米国で増産が進む新型天然ガスの「シェールガス」そして「シェールオイル」。

2000年代から商業生産が行われ、世界のエネルギー市場が大きく変わる可能性を秘めています。

米国は世界最大の天然ガス・石油の産出国として存在感を増し、将来的に貿易収支や経常赤字の改善、製造業の復活、強いドルが復活する革命の兆しが見えています。

●新しい資源 シェールガス1/2の動画

シェールガスとは

主成分はメタンで、従来のLNG(液化天然ガス)と成分は変わりません。

★シェールガスは、地下2千~4千メートルにある頁岩(シェール)の中にある天然ガス資源のことで、回収可能資源量は通常の天然ガス資源量に匹敵するといわれています。

その存在自体は以前から分かっていましたが、在来型天然ガスに比べ採掘が難しく、採算に合う商業ベースには至りませんでした。

しかし、採掘技術の進歩によって、新たなエネルギー資源として商業生産が行われ、米国では算出する天然ガスの約4割がシェールガスになっています。

シェールオイルとは

シェールガスと同じく頁岩層の中には、石油(オイル)もあります。その石油のことをシェールオイルといいガスと同じ掘削技術で採掘できます。ただし、ガスに比べてコストが3~4倍かかります。

IEA(国際エネルギー機関)は、2017年にシェールオイルの生産増加により米国の原油生産量が日量で1100万バレルに達して世界最大の産油国になる可能性が高いと発表しています。

シェールガスとシェールオイルの両者を合わせて「シェール革命」と呼びます。

シェールガス革命と技術革新

従来の天然ガス(在来型天然ガス)は。浅い地層に貯まったガスを採掘します。

元々、シェール層にあったガスが、長期間の地殻変動・水圧などで浅い地層に移動しますので、そこを掘り当てれば自噴する勢いで噴出します。それを採掘・貯蔵することは従来の技術でもできました。

シェールガス革命は、技術革新により、地中に大量に存在しているガス自体を採掘することができるようになったのです。

三つの技術革新:1.水平掘技術2.水圧破砕、3.マイクロサイズミック技術で、シェールガスの採算性は飛躍的に向上しました。

三菱商事:シェールガス

シェールガスの埋蔵量

DOE(米国エネルギー省)の試算では、旧ソ連と中東を除く全世界で回収可能なシェールガスは、6600兆立方フィート。

●IEAでは、従来の天然ガスを含めると世界の消費量の250年分以上あるとのこと。

さらに、シェールガス意外にも砂岩(タイトサンド)にあるガスや旧ソ連・中東のシェールガスを含めると天然ガスの埋蔵量は約400年~600年分。

主な地下資源の可採年数が、石油:46.2年、石炭:118年、天然ガス:58.6年、ウラン:100年以上とされていることに対しても膨大な資源量であることがわかります。

可採埋蔵量wiki

世界や日本にあるシェールガス

米国だけでなく、中国やメキシコ・アルゼンチン・ポーランド・南アフリカなど世界各地に眠っています。

地域 回収可能量 TOP7か国 回収可能量
北米 1,931 中国 1,275
南米 1,225 アメリカ 862
欧州 639 アルゼンチン 774
アフリカ 1,042 メキシコ 681
アジア・オセアニア 1,785 南アフリカ 485
合計 6,622 オーストラリア 396
カナダ 388

データ:IEA、単位:立方フィート

埋蔵量自体は、アメリカより中国の方が多いのですが、開発はアメリカが先行しています。

アメリカの石油産業は、エクソンなどロックフェラーのスタンダード石油・テキサスなどの石油会社などを含め多種多様な会社が存在します。

メキシコ湾周辺の石油採掘・中東での石油採掘などノウハウも持っていますので、それがシェールガスの技術革新の基盤になっています。

シェールガス技術の商業化自体もミッチェルエナジーという小規模な石油会社が開発しました。

現在は、デボン・エナジーという石油会社に買収されています。朝日ライフアセットマネジメントの銘柄紹介「デボン・エナジー」

デボン・エナジー (DVN) 株価/株式情報 銘柄詳細:ブルームバーグ

日本でも2012年10月に秋田県の鮎川でシェールオイル採取に成功するなど存在はしています。ただし、日本全体の消費量からするとわずかな量とみられており陸地については限りがあります。

日本近海には、メタンハイドレートと呼ばれる海底の地中にガスが存在しており、100年分以上の埋蔵量があると推計されていますが、海底2000メートル以上の地中にあることから商業ベースで採算が合うにはかなりの時間がかかりそうです。

環境への悪影響はあるのか?

シェールガス・オイルの採掘は、地下深くで行うため環境への影響が不安視されています。

・水圧破砕による地層破壊や地震誘引の可能性

・地下に化学薬品を注入するために地下水を汚染する可能性:地下水脈(数十~数百メートル)よりシェールガス層(2千~3千メートル)の方が深いため汚染可能性は低い。

・メタンガスの放出や漏れ出し。

鉱山開発・石油開発などにおいて環境破壊がゼロということは、ほぼありえません。問題は、これらがコントロール可能か環境保全にコストを支払えるかどうかにあります。

天然ガス(シェールガス)の用途

シェールガスは、天然ガスと成分できには変わらないため、用途や輸出方法は天然ガスと同様です。

用途:発電、都市ガス、産業用、石油化学製品、自動車燃料

ガスの輸送や輸出:陸上はパイプラインで輸送。海上輸送は液化してLPG(液化石油ガス)にしてタンカーで運びます。ただ、シェールガスをLNGにして輸出する場合、液化プラント設備・気化ターミナルなど輸出国と輸入国の双方に設備投資が必要です。

天然ガス価格やパイプライン

日本および韓国は、原油価格に連動したLNGで輸入をしています。そのため原油価格が高いことから世界一高いガス価格で輸入することになります。欧州の2倍、米国の5~8倍と言われます。

2012年の天然ガス年平均価格

アメリカ:99.17ドル、欧州:431.31ドル(USドル/1000立方メートル)

日本:381.77ドル(USドル/立方メートル)日本だけ単位が違います。

●日本の天然ガス価格の推移(1980年~2013年)

天然ガス価格(日本)の推移 - 世界経済のネタ帳

欧州:全土のパイプラインを整備してロシアやアフリカ・北欧から輸入しています。また、英国やフランスにはLNG受け入れ基地もありますので双方を選ぶことができます。ただ、ロシアそしてウクライナと欧州の間でガス価格の決定やパイプラインの問題で交渉やもめごとが置いています。ガスのパイプラインは今や欧州の生命線の一つです。

米国:北米全土にパイプラインが整備されています。

●欧州と米国の天然ガス価格の推移(1980年~2013年)

天然ガス価格の推移 - 世界経済のネタ帳

特にアメリカの天然ガス価格が急激に下がっています。

天然ガスチャート(Natural Gas)価格:NYMEX Natural Gas

●世界の原油価格の推移(平均)1980年~2013年

WTI、ブレント、ドバイの平均価格です。

原油価格(平均)の推移 - 世界経済のネタ帳

石油価格は上昇傾向

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