がんによる死亡率の統計、日本人の2人に1人はがんになる?

生命保険会社が、「がん保険を勧誘する際のセールストークに日本人の2人に1人はがんになり3人に1人はがんで死ぬ」というセリフがあります。

これは真実なのかどうかを調べてみました。

日本人の2人に1人はがんになる!

日本人の2人に1人はがんになる!と言われると恐ろしいですね。すぐにがん保険に加入し、毎年の健康診断にがん関係の診断を加えたくなります。

では、これは本当なのでしょうか?言葉だけが一人歩きして、2人に1人ががんになるや2人に1人ががんで死ぬと言わることもあります。

結論は、確かに日本人の3人に1人はがんで死にます。でも、ここには数字や言葉のトリックが隠されています。そこを見ていきましょう。

日本人の死因Top10

厚生労働省が公表している日本人の死因Top10です。平成20年度の調査では、がんの割合が一番高く30%になっています。


順位

死因の病名

割合

1位 

悪性新生物(がん)

30%

2位

心疾患

15.9%

3位

脳血管疾患

11.1%

4位 

肺炎

10.1%

5位 

不慮の事故

3.3%

6位 

老衰

3.1%

7位 

自殺

2.6%

8位 

腎不全

 

9位 

肝疾患

 

10位 

慢性閉塞性肺疾患

 

出典:厚生労働省

この数字を見ると確かに30%が「がん」で死亡しています。さらに、日本人は世界中でも「がん」で死ぬ確率の高い国です。

各国のがん死亡率

イギリス 27.0%、アメリカ合衆国 22.8%、イタリア 27.0%、ドイツ 25.7%、フランス 28.2%:WHO2006年

なぜ、日本人はがんでの死亡が高いのか?

がんでの死亡原因が高いのは、化学物質・食べ物・環境・ストレス・喫煙、様々な理由があげられます。

ただし、一番の理由はがん以外の原因で死ぬ確率が減ったからです。

食生活・医療・住環境・職場環境など、様々なことが、改善されて、日本は、非常に安全な国です。

事故や戦争で死ぬ確率も低く、脳や心臓の病気も、かなりの確率で治療ができます。では、後は、何で死ぬかというと「がん」しかありません。

これが、がんの死亡率が高い一番の原因です。

世界の平均寿命ベスト3

1 日本 82.73歳、2 スイス 81.81歳、3 香港 81.61歳

平均寿命や高齢化について詳しく知りたい。

主な死因別にみた死亡率の年次推移

下図は、厚生労働省が公表している死亡率の年次推移です。悪性新生物(がん)が急上昇し、脳血管疾患が減少しています。

このグラフの悪性新生物のところだけ抜き出した資料は良く見かけます。それだけを見れば、何らかの原因で、がんで死ぬ人が急上昇したと思ってしまいます。

人はいつか死にます。その死亡原因をどんどん減らしていくと死因が減っていき、最終的にがんが死因となるだけのことです。

死亡率の年次推移

出典:厚生労働省のホームページ

がん死亡率の年齢による変化

2009年にがんで死亡した人は344,105例(男性206,352例、女性137,753例)。
2005年に新たに診断されたがん(罹患全国推計値)は676,075例(男性390,835例、女性285,240例)。

男女とも、おおよそ60歳代から増加し、高齢になるほど高い。
60歳代以降は男性が女性より顕著に高い。出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

 

がん死亡率の年齢による変化のグラフ

がん研究センターが公表しているデータです。これを見ると明らかに高齢になればなるほど、がんにかかりやすいことが分かります。そして、若い頃にがんにかかる確率は、非常に低く、60歳以降から急激に上昇していることも簡単に分かりますね。

がんにり患する確率です。

生涯でがんにかかる確率は以下の通りです。男性26%、女性16%と男性の方が圧倒的に高いですね。そして、女性特有のがん、乳房(乳がん)や子宮の項目を見るとかなり低いことが分かります。

もちろん、これらのがんに若くしてかかったときに手術や治療は必要です。しかし、ある種の宣伝では、女性特有のがんに対して過大な宣伝をしているのではないかと思います。

がんにり患する確率

出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

年齢別のがんり患リスク

次に男女別・年齢別にがんにかかるリスクを見てみましょう。

表の見方は下記の例のように見てください。

・生まれたばかりの男性の赤ん坊が50年以内にがんにかかるリスクは2%です。60歳になってやっと7%で、80歳だと37%になります。

・30歳の男性の方が、その後10年以内にがんにかかるリスクは0.5%30年以内だと7%。

・女性は、20年の方が20年以内にがんにかかるリスクは2%、30歳の方が30年以内にがんにかかるリスクは9%です。

男性のがんにかかる確率

女性のがんにかかる確率

出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

がんの死亡率とがん保険

いかがでしょうか?数字を見ていくと確かに最終的にがんにかかるリスクやがんで死亡するリスクは高いといえます。しかし、数字のトリックやあえて説明不足により若年層でのがんになるリスクを高く見せかけている例が多いように感じるのは私だけでしょうか。

がん保険について、万一のために入っておく考え方もありますし、がん保険のおかげで助かった方もいます。

しかし、がん保険に入るのならば、ここにあげた数字を知った上で(説明を受けた上で)判断を下して入るのが必要ではないでしょうか?

生命保険業界には、勇気をもって、数字を開示した上で、お客様の役に立つ道を進んでもらいたいと考えます。

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